ヤスデ坂。
距離は短いものの、いつヤスデに出会うかとハラハラドキドキの精神的な疲れで坂を登り切って『さぁ、一息つこう』と目の前の景色に暫し呆然。
声にならない感動。
圧倒的な木のエネルギー。
あんなに沢山いたヤスデはこの一帯だけは全く見当たらず、日が当たっていることと湿り気のある落ち葉が無いからだと思われますが、先程を地獄とするならば、まさしくこちらは天国。
聖域です。
見上げた頭上も素晴らしく、
この一帯はどこをとっても別次元。
木の根。木の躍動感。あふれる光。
生きているから葉は青々と、枝は四方八方に伸びてゆくのですが、
そんな当たり前のことが今更実感出来たような、圧倒的な生命力。
帰りのヤスデ坂さえなければ、いつまでもここでボーっとしていたい。
ヤスデ坂さえなければ・・・(笑)
真っすぐに伸びた幹と、その幹のエネルギーを支える木の根。
左右の踵を180度に、バレリーナのような佇まい。
となると、今いる場所は正しくステージ。
スポットライトのように光がこの空間だけを照らしているかのようです。
少し場所を離れると、石がある一帯がありました。
上方から水が流れており、不動明王のお祭りされているお堂へと流れ込んでいるのではないかと思われます。
最後に木に別れを告げて、
残るミッションは、恐怖のヤスデ坂。
恐る恐る斜面を下っていきましたが、随分と見慣れたせいか、そしてそもそもヤスデ自体は何をするでもなく、枯葉の下に入ってはカサコソとゆったりのんびりしており、それを見てさすがに癒されることはありませんでしたが、行き程の恐怖は感じませんでした。
そもそも性格は草食で穏やかだそう。(←確かに)
ムカデのように肉食で凶暴な性格ならそれこそ恐ろしいのですが(そんな凶暴な性格のムカデはビックリしたことに子育てをするそうです!)、帰りは誤ってヤスデを私の大きな足で踏むことがないように、こちらが気を付けて斜面を通らさせてもらったような、ちょっと敷地にお邪魔させてもらったような気分になりました。
そんな、少し親近感の湧いたヤスデともさようなら。
週末、大津に行くようになってからというものどうも気になっていた長等山。
その山中に入って、すこし納得できたというかスッキリしたような気分です。
水の清らかなところには、沢山の面白い生物が生息しており、その母なる大地、お山には人間の目には到底分からない、理解できないことがあるような気がします。
目で見ただけでは見えない、何か。
でも、この物質世界に生きているが為に、目で見て識別、判断することが最上の方法のように感じてしまいますが、どうもそうではなさそうです。
山の斜面を登り切ったその上に、確かに目で見て素晴らしい世界はありましたが、それ以上に何とも言葉にし難いものを感じました。
圧倒的な、何か。
圧倒的な優しさ?
包み込むもの?
それが何だか私には分かりませんが、言葉にならない、でも知らず頬を伝った涙だけはその意味を分かっているような、そんな気がしました。
さて、まだ続きます。