山間部を奥に進めば進むほど透明度を増していく川の水。
この小さな川の流れが、いずれ大きな鴨川へと。
そんなことを思いながら、どんどんきつくなってきた坂に、いい加減ゴールはまだかと漕ぎ続けるもこの辺りでとうとう挫折。
あと少しで志明院だったのに。
自転車を降りたついでではないですが、せっかくなので目に入った祠で手を合わせます。
さて、そんな敗北感たっぷりの私の目の前をスッと一台の自転車が通り過ぎていきました。
最初から最後までずっと最後尾だった息子はひたすらマイペースを守り続け、最後まで一度も立つことなく続く坂道を走破!
『自分のペースで走ったからいけた!』
と自信満々な息子の姿が一回り大きくなったように感じました。
さて、自転車を降りておしまいではなく、ここから志明院へ続く石階段を上がります。
境内はコロナ対策として最大5人までの参拝との案内があり、大人数で参拝される予定がある方は要注意です。
階段を上り切ったところで、ご住職の奥様と思しき老婦人の姿が。
ここから参拝にあたっての説明があり、手荷物は山門前での預かり、飲食不可、マスクは不織布マスクを使用するようにとのことで、ウレタンマスクはNGだそうです。
(張り紙には人数制限しか記載がありませんが、今後不織布マスク着用の旨、張り紙に記載をしようと考えているとのことでした。)
私と主人はスポーツ用のフェイスカバーだった為、カバンに予備用マスクとして入れている不織布マスクで事なきを得ましたが、もしお参りに行かれるのであれば人数同様マスクの種類についても要注意です。
この後ウレタンマスクがいかに無意味か、不織布マスクがいかに優れているか、そんなことはテレビを見ていれば知っていて当たり前でしょうとの話しがあり、なんとなく『テレビを見ていません。。。』とも言えない雰囲気(^^;
マスク講義が終わった後は、おもむろに『この写真を携帯電話で撮って下さい』と。
山門より奥、携帯電話の使用、撮影は一切禁止。
ただし、この地図を見る際に限り携帯電話の使用は可とのこと。
あくまでも修行の場、聖域に入るとの認識を持ち、他にお参りされている方の迷惑にならないように静かにお参りするようにとのこと。
これ以外にも、お参り前から色々と注意事項が多く、事前にネットで情報を得ていた私は想定内でしたが、私以外の家族はあまりの注意事項の多さに面食らっていました(^^;
さて、気を取り直して山門です。
あとは、中に入った方のみぞ知る世界。
なのですが、今調べながらブログの文章を起していますが、結構写真を撮られている方が多いことにビックリです。
お参りは30分もあれば一巡できる広さで、なんだか家族一同想像していた感じではなかったようで、足早に境内をあとにしたい雰囲気がありありと(笑)
そんな中、ふと寺務所を見ると御朱印の文字。
珍しく主人から『せっかくやし頂いてきたら』の言葉が聞こえていたのか、どこからともなく老婦人の姿。
御朱印を頂きたい旨を伝えると、『御朱印はお参りの前に言ってくれないと、時間がかかります。』と言われてしまい、『では、また頂きに来ます。』ととっさに口から出たものの、果たして次回があるのかどうかは私も不明(笑)
その場を後にしようとしたところ、『少し時間を頂けるのであれば、書きますけど、御朱印は最初に伝えるのが常識です。』と、言われてしまいました(^^;
更には寺務所前で御朱印を待とうとしていた私に、階段を降りた先の駐車場で待っているようにとの指示。
今にして思えば、コロナの空気感染がよっぽど怖かったのではなかったと思うのですが、その時は珍しい注文だなと、言われるがままに階段を降り家族のいる元へ。
ほどなくして階段の上から『出来ました!』の老婦人の声に、再度この階段をのぼり、
お財布を開けるとまさかの一万円札しかなく・・・。
ダメ元でお釣りがあるかどうか伺ったところ、『銀行に行くもの大変なので、困ります。どうにかして下さい。』と言われてしまい、まぁ、事前に財布の中身を確認していなかった私が悪いので再度階段を降り、ありがたいことに小銭を持っていた主人から小銭を借りて再度階段をあがり・・・。
って、なんだかこれでは罰ゲームのよう(笑)
御朱印を頂くだけで、色々ありましたが頂いた御朱印はこちらです。
帰り際、普段温厚な主人が珍しく『御朱印はお参りした後に頂くものとちゃうの。』と、憤っていたのには驚きでした。
一度も御朱印頂いたことがないくせに(笑)
今まで色々な所にお参りに行かせて頂いていますが、こんなにも終始全く歓迎されないお参りは初めてで、色んな意味でビックリなお参りとなりました。
以前の私であれば、一言モノ申していたのかもしれませんが、不思議とそんな感覚には全くならず、それ以前に都会から離れた山奥でTVの情報が全てな生活であれば、(場所によっては携帯電話は圏外でした。)コロナ感染に必要以上に怯えてしまうのも仕方ないのではないかと。
ただし、御朱印を出すタイミングの常識はコロナとは関係はなく、その点は何とも言えませんが(笑)
私はどちらかというと、思い込みが激しく頑固、意固地になりがちな性格です。
半面、一度決めたらやり抜く意志はなかなかな根性物語です(笑)
『長所は短所にもなり得、短所は長所にもなり得る。』
少し偉そうかもしれませんが、老婦人に少し自分と同じ感覚を覚えました。
自分の思う正しいは自分を確立するためには大切だけれども、人には押し付けない。
頑なにならず、柔軟に。
良い面(喜神)も度を過ぎれば、悪い面(悪神)として出てしまう。
どちらも自分。
どのように自分と付き合い、よりよく生きていくか。
今私が始めている勉強とリンクするところも多く、色々と考えさせられるお参りとなりました。
さて、肝心要の志明院の話しはあまりないのですが、司馬遼太郎氏の著書『司馬遼太郎が考えたこと』の石楠花妖話に志明院の奇怪な話しが掲載されています。
宮崎駿監督が司馬遼太郎との対談時に志明院の話しを聞き、その話しを元に『もののけ姫』が着想されたとは有名な話しのよう。
司馬遼太郎氏が体験されたような不思議な体験は家族一同ありませんでしたが、私にとっては得難い経験となりました。
さて、帰路は家族全員が行きに気になっていた神社へお参りです。
つづきます。