広い境内を歩いているとまたしてもお堂が見えてきました。
『微妙寺』
智証大師が会得された黄不動尊のご朱印が頂けるお堂であり、湖国十一面観音霊場の第一番札所でもあるそうです。
ふと、微妙寺だけ『~堂』ではないことが気になり調べたところ、微妙寺は別の場所から三井寺の敷地内へ移築されてきたお寺だそうです。
案内板をよく見ると、三井寺別所と明記されていますね(^^;
三井寺の境内には微妙寺の他に水観寺も三井寺別所となるそうで、水観寺は移築ではなく現在の場所に元々建てられていた三井寺別所。
そもそも別所寺院とは、
だそうです。
【出典元:三井寺>名宝の紹介>建造物>水観寺】
調べてみると三井寺別所は五別所あるそうで、微妙寺、水観寺、他には境内外に近松寺、常在寺(廃寺)、尾蔵寺(廃寺)があり、総称して園城寺五別所。
せっかくなので、廃寺になっていない近松寺には週末に行ってみようと思います。
さて、微妙寺で御朱印を頂いた際に少しお話しを伺いました。
現在はコロナで開館が見合されているようですが、こちらの文化財収蔵庫に黄不動尊は保管されているそうです。
微妙寺のお堂内には黄不動尊と十一面観音の掛け軸がかけられていたのですが、これがビックリしたことに西陣織で織られた掛け軸だそうで、プリントしたのかと思うほどの精密さ。
ご本尊にお目にかかることは保存状態を考えると、いつでも拝観できるわけではないことを考えると、掛け軸であったとしても立派な織物を見れただけでもありがたいことです。
さて、まだまだ進みます。
少し登りの道中沿いに、何体かの石像があり、こちらのお像がとても美しく気になりました。
『衆宝観音』
下記、立札より転載です。
三十三観音の一つ。
衆宝とは、衆生が求めてやまない財宝の事です。
右手を石に置き、左手を立て膝の上に置く特異な観音様です。
3個の蓮華のうち、未開の蓮華は、未だこの世に姿を現さない我々の状態を、半開の蓮華は、現世に生きる私たちを。
全開の蓮華は完成された人格が表現されています。
この観音様を信仰すれば、財宝がたまり、福徳を授けられ、出世が叶うと言われる観音様です。
気になったのは見目麗しいお姿だけではなく、お像の元に置かれた数珠の数!
欲を断ち切る為に置いて行かれるのでしょうか。
道沿いにこれから向かう観音堂にお祀りされている観世音菩薩の御功徳が掲げられていました。
側には朱塗りが美しい毘沙門堂。
観音堂へ至る石段の脇には聞き慣れない名前の『十八明神社』
またしても、三井寺のHPより下記転載です。
観音堂へ上る石段の脇に祀られる十八明神は、本来は伽藍を守護する神ですが、 一般には「ねずみの宮さん」と呼ばれ、人々に親しまれています。
白川院の時、当寺の頼豪阿闍梨という高僧に皇子降誕を祈誓するよう勅命が下りました。 まもなく祈祷の験あって皇子が誕生し、その賞として当寺念願の戒壇道場建立の勅許を得ました。
ところが、比叡山の横暴な強訴により勅許が取り消されてしまい、 これを怒った頼豪は、二十一日間の護摩をたき壇上に果ててしまいました。 その強念が八万四千のねずみとなって比叡山へ押し寄せ、堂塔や仏像経巻を喰い荒らしたと 「太平記」は伝えています。
この社は、この時のねずみの霊を祀っているために北の比叡山の方向を向いて建っているとも 伝えられています。
【出典元:三井寺>三井寺について>伝説>ねずみの宮と頼豪阿闍梨】
モノが意思を持ったもの(閼伽井屋の龍の彫り物、弁慶の引き摺り鐘)ではなく、人の念が別の生物に化けて思いを遂げる。
ネズミは北の方角だけに、比叡山を向いてお社が建っているというのも何とも信憑性があり、そもそも比叡山の横暴な態度に対してネズミに化けたというのがいかにもで、出来過ぎているから疑わしと感じるのか、そのまんま受け取ってしまうのか、何とも面白い逸話です。
さて、この石階段を上がれば琵琶湖が望める見晴らしの良い観音堂に到着です。
の前に、石段上ってすぐの場所に百体観音堂がありました。
中を覗いてみると、
左右にずらりと立ち並ぶ、
そのお姿は観音様。
正面にもこのように観音様が安置されています。
正面中央の観音様は、観音堂のご本尊と同じく如意輪観音様になるそうで、左右正面の観音様を合わせて百体になることから、百体堂と呼ばれているそうです。
さて、やっとやってきました。
『西国三十三所観音霊場 第十四番札所 観音堂』
お堂から見える景色。
琵琶湖が見えますね。
20年数年前には琵琶湖畔に高さのある建物と言えば大津プリンスホテルくらいしかなかったような気がするのですが、ここ数年で大型マンションがとても増えました。
琵琶湖と言えば、空と湖がトレードマークのような印象でしたが、随分と変わりましたね。
さて、上って来たばかりの階段を下ります。
境内はまだまだ続きます。
西国薬師霊場 第四十八番札所
こちらのお堂の雰囲気は、何とも柔らかくてとても良かったです。
物々しくないというのでしょうか、私はとても居心地が良かったです。
周りの木々達の影響もあるかとは思うのですが、お堂の周りを流れる水の流れといい、とても気持ちの良い空間でした。
そして、そんな気持ちの良い空間は、人間だけではなく猫ちゃんにももちろん分かるようで、
ジーッと見つめる視線の先には、
オヤツ❤️
御朱印を頂きながらお話しを伺ったのですが、『まぁ、なかなかなつかん』とのこと(笑)
音のするおもちゃのようなものを鳴らすと、側に寄ってくるまでにはなったけれども、絶対に手からは直接食べ物を受け取ろうとはしないとおっしゃっていました。
おやつを下に置くと、それを咥えて別の場所に置いて食べるのだそうです。
御朱印を書いて下さったおじ様が、まぁ、なんとも物腰の柔らかい方で、その温和な雰囲気と喋り方に、私から見ると猫ちゃんはとても心を許しているように見えました。
おじ様の側ではないですけれども、御朱印所の側で毛づくろいをして寛いでいる姿なんて、どうみてみ懐いているとしか思えません(^^)
手前の柔和な石像と、ねこちゃん、そして御朱印所のおじ様。
とても柔らかな雰囲気と時間の流れる空間でした。
写真は観音堂から降りてきた石段で、右手に今しがたお参りしたばかりの水観寺。
緑の濃ゆいよき場所でした。
さて、まだまだ終わりそうにもありません。
続きます。