さて長等神社を出て向った先は国道161号線沿いにある蝉丸神社 下社。
向こう側に渡ろうとすると、遮断機が下りてきました。
京阪京津線の線路を越えた向こう側に鳥居があります。
この時点で鳥居から見える、古墳のような場所に既に釘付けです。
鳥居入ってすぐ、右手に歌碑がありました。
蝉丸神社のHPから、百人一首の石碑だそうです。
〔第10首/蝉丸〕
これやこの 行くも帰るも 別れては
知るも知らぬも 逢坂の関
手水舎の水は水栓をひねれば出てきました。
こちらの切り株。
根の張り方からすると、立派な木があったようです。
そして、正面の境内を見やるとなんということでしょうか。
木はおろか下草も生えておらず、剥き出しの砂地。
きっとこの一帯は木が生い茂っていたはずだと思われます。
狛犬さんがポツンと所在なさそうに佇んでいます。
本殿への参拝前からとても気になっていたこちらは関清水神社というのだそうです。
『関清水神社』
内部はご覧の通り深くはありません。
少し気になり調べてみると、今年令和二年五月二十四日に関清水神社 龍神様の復活祭が行われたようです。
以下、Facebookから転載です
滋賀県大津市にあります関蝉丸神社下社は、旧称 関清水大明神蝉丸宮といわれ、水の神様が祀られている神社でもあります。以前は御神水を求めて多くの方が参拝に来られたこの神社の湧水が、環境の変化により40年ほど前から枯れてしまいました。
水の神様を祀る神社でありながら水のない状態を拝見し、私たちにできることはないかと考えていたところ、呼び水をすることで水が復活するきっかけが作れるのではないかというお話しを伺いました。水のある神社への復興に向けて、関清水神社 龍神様の復活祭を開催させていただきます。皆様のお力添えをいただけますよう、お願いいたします。
Facebookのアカウントを持っていない為、見れる範囲で拝見させて頂いたのですが、この復活祭の呼び水に、建部大社の水神社からのお水が奉納されたようです。
建部大社のご神水は縁があって、車で滋賀に行く際は頂いて帰っているのですが、水神社周りはとても良い気に満ち満ちています。
【滋賀】建部大社の水神社、と御神水 - シロンプトンでパンとお参りと
【滋賀】建部大社 水繋がり、水神社は水の源 - シロンプトンでパンとお参りと
復活祭は地元の方40名ほどが参加されたそうで、奇しくも40年前に枯れてしまったご神水の復活に向けて、在りし日の蝉丸神社への再生へ、始動されたのではないかと感じました。
自分の生活に関係ないのかもしれないのに。
我身に降りかかった災難ではないかもしれないのに。
こうして地元の方が力を一つに同じ目標に向かわれている姿を想像するだけで、何とも言えない気分になります。
きっと40年前、ご神水が枯れるまでは境内の木々達は生き生きとしていた事だと思います。
紀貫之が、
「逢坂の 関の清水にかげ見えて 今やひくらん 望月の駒」
と詠んだ泉。
ただし、大正10年(1921)に逢坂山トンネルが蝉丸神社北側の山中に掘削され、水脈を切断され枯れてしまったそうです。
一度失ってしまった自然は、元に戻す為に失った年月の倍以上の時間がかかると言われていますが、次の世代に向けて大きなプレゼントになることだろうと思います。
こちらは関清水神社の側にあった歌碑であろうと思われる石碑。
残念ながら、『逢坂の関・・・』までしか読めません(^^;
長等神社同様、本殿の周りにはぐるりと一周できる回廊がありました。
回廊側から見える内幣殿手前の狛犬さん。
こりゃいいお顔ですねー。
ぽっちゃりさん。
手前の狛犬さんのこの丸ッとしたフォルムが何とも言えません(^^)
蝉丸神社の御祭神は豊玉姫命。
福を招き出世を約束する女神で、縁結び・安産・子孫繁栄の神として敬われている。なお、海神の娘である豊玉姫命は水霊信仰とも深く関係している。
そして、蝉丸神社の名の蝉丸はというと、
平安時代中期になると、琵琶の名手で、後撰集の歌人でもある蝉丸が鎮座地の逢坂山に住むようになり、没後に上・下両社へ合祀された。
歌舞音曲の神として信仰されるようになり、次第に音曲を始めとする諸芸に関係する人々の信仰が厚くなった。
【出典元:関蝉丸神社 御由緒】
回廊に貼ってあった蝉丸芸能祭の報告書。
御由緒からすると蝉丸にあやかったお祭りのようです。
さてこちらの回廊。
長等神社のように周ると美女になれると記載はありませんが、せっかくなのでぐるりと一周周ってみました。
見事に蜘蛛の巣まみれになってしまいました(笑)
さて、蜘蛛の巣まみれの汗まみれ。
ここまでくれば何も怖いモノはありません。
回廊の外側、境内の森を少し探検。
回廊右手にあったお社のないきっと稲荷社。
こちらは回廊左手にあった時雨灯籠
重要文化財とあります。
時雨灯籠の説明左手に大神宮神社。
御祭神は不明。
こちらはまたしても歌碑
時雨燈籠の後ろ手にある木の根元が興味深かったです。
またしても歌碑!
最初の『蝉丸・・・』だけは判別できますが、あとは分からず(^^;
境内摂社 貴船神社
水の神様ですね。
境内摂社 天満宮
面白い貼り紙を発見。
サネカズラという実がなる木だそうで別名、美男葛とも言うそうです。
ビナンカズラとは、昔武士などが整髪用に用いたもので、「美男葛(びなんかずら)」で、これを用いると、「美男」になるという意味から呼ばれました。
どろどろにした、樹液を用いて、男女共、頭髪養毛料や整髪用として、薄めて、洗髪用に用いていました。
【出典元:ビナンカズラ(サネカズラ),実葛,美男葛(びなんかずら),南五味子(なんごみし),Kadsura japonica,モクレン科サネカズラ属,苗】
蝉丸は髪の毛の祖神とも言われており、その地にこのサネカズラ(ビナンカズラ)が自生していることはとても面白く、偶然ではないように感じました。
こちらは色味のない境内で唯一、一か所目を引いた色。
大神宮神社付近に赤い実が生っていました。
残念ながらサネカズラの実は見れませんでしたが、これから再生に向けて舵を切られたであろう蝉丸神社を象徴するかのような見事な朱色でした。
蝉丸神社 下社は令和4年(2022)で御鎮座1200年になるそうです。
さてここからは、蝉丸神社上社へ向かって1号線を走ります。
つづきます。